私は森田福男氏から初めてマズローの事を聞いた。マズローは企業や大学など組織のトップに立つ人達にモチベーションに関するセミナーを提供していた。福男氏は私のモチベーションについて理解したいと思い、セミナーに参加したとの事だった。
当時モリタ社は私に多額のロイヤリティ費を支払っていたのだが、私は大して注意を払わなかった。私のモチベーション(動機づけ)は自分自身の好奇心に基づくものであり、思う通りに前に進んでいく事だった。企業の長に対するマズローの基本的なアドバイスとは、私のようなモチベーションを持つ人間は雇用しないようにというものだった。
さらに「もし雇用したなら、2つの事が起こる可能性がある;つまり彼が会社を乗っ取ってしまうか、会社を破産させてしまうという可能性があるが、そういう人間は、組織の乗っ取りや経営には興味を持たない事が多いから、破産する可能性の方が高い。」と述べた。多くの人々は世界中を旅行したいと願い、退職後は自分が行きたいところに思うままに旅をするという夢を持っている。そしてそれは当人の生涯にわたる夢になり、その事に満足している。中には家や建物など資産の所有に満足を覚える人々もいる。私は若い頃には車を持ち、運転することに満足していた。なにしろ6才の時にトラックを運転していたほどだ。(注:農作業用のトラクターだと思われます。)非常に若い時には車の運転に高い満足を感じていたが、家や建物を所有したいと思ったことは一度もない。もし長年にわたって何かを得たいという願いを抱き続けたなら、それが人生の強い動機づけになるのだろうが、私の場合は極めて若い時に充足してしまった。
マズローは、大半の人々が長年にわたって願い続けるものを若い時に得て満足した者は、次の段階の欲求(動機づけ)を持つことになると述べている。そして、そういう人間が唯一関心を持つのは、生涯にどれだけのことを自己達成できるかという事である。 (https://ja.wikipedia.org/wiki/自己実現理論 ) 160413